都知事選に際し、石原慎太郎、浅野史郎両氏のマニフェストが公表された。
石原氏は以下のように基本姿勢と政策を掲げた。
[基本姿勢]
「都民くらし満足度世界一」をめざして
@世界一安心・安全な首都、東京を実現
A環境最先端都市、東京を実現
B教育と子育て支援の充実した東京を実現
[政策]
@都民の目線による医療・福祉を推進
A納税者・生活者の視点で行財政基盤を強化
B「首都圏知事連合」を発足し、道州制を実現
Cものづくり発信首都東京を実現
D東京オリンピックを契機にした、世界に向けた文化の発信を推進
Eシニア・熟年世代元気度日本一を実現
F多摩地域、島しょ地域の未来を創造
G「人生再起動」を全面支援
一方、浅野氏のマニフェストは以下のようなものだ。
[基本姿勢]
@東京から新しい風を起こす
A人と自然にやさしい東京を創る
B透明性のある都政、風通しのよい都政にする
C納税者のお金を大切に使う
D都民のために、誠心誠意、全力を尽くして働く都政を確立する
[政策]
@震災で犠牲者を出さない東京
Aみんなが働く東京
B子ども、お年寄り、みんなに優しい東京
C環境のトップランナーとしての東京
Dのびのびと学べる東京
E男女が思う存分力を発揮できる東京
両氏の公約を見ると、医療・福祉、環境、教育、雇用対策、税金の使い方については共通しているように思われる(もちろん、具体的にどう進めるか、数値目標などについては異なるが)。
似ているようで違うのは「災害について」である。石原氏は[犯罪などの治安]に対する政策を掲げているが、浅野氏は「地震対策」を打ち出している。これは小誌の私見だが、天災がどれだけの大きさで襲来するかは予測がつかないものだ。「震災で犠牲者を出さない」と言い切れるものだろうか。現実問題として自治体ができることは、防災マニュアルの作成や避難路・避難場所を整えて、被災者を少しでも減らすことでしかないのではないか。浅野氏のこの政策は大風呂敷のように思えてならない。
残念というか、不思議なのは、石原、浅野両氏が「首都機能移転」について一言も述べていないことである。地方の者からすると、今回の都知事選は「首都機能移転をどうするのか」「国が進めている三位一体改革をどう考えているのか」の二点が大きな争点だと思っている。これは小誌だけでなく、多くの宮城県議も述べている。首都機能移転も三位一体改革も、東京都だけの問題ではなく、地方に影響を及ぼすものだからだ。
首都機能移転については、浅野氏は宮城県知事時代、移転賛成論者だった。石原氏はもちろん反対論者だ。仮りに浅野氏が都知事になった場合、移転をどうするつもりなのか。県知事時代のように「賛成」するならば、都民はどう思うのか。「反対」ならば、県知事時代の発言との整合性を説明する必要があるだろう。
同様に三位一体改革も、浅野氏は県知事時代、全国知事会の急先鋒として、国に対して批判をしてきた。三位一体改革は地方分権や税源移譲に関することだが、この国の税源は事実上、東京都の税収に頼るところが大きい。有り体に言えば、「東京都のお金を地方に分配する」ことである。浅野氏は、都知事としてどうしようと考えているのか。このことも都知事選の中で都民に説明する必要があるはずだ。
「東京が風邪を引けば、地方は肺炎になる」−−そう思っている政治家・経済人は宮城県内でもかなりいる。だからこそ、今回の都知事選が地方人としても気になるのだ。
今からでも遅くない。候補者はこの二点の問題について、考えを述べてほしい。また、マスコミは候補者に問いかけてほしい。 |