2001.10
第1号4P
 
 
 
 地域医療の中核となる県立病院、公立病院が深刻な状態に陥っている。赤字経営が続くことから医師の確保ができず、診療科目の削減を余儀なくされている。地域住民にとって病院は生命・安心を託す拠り所。このため不安が広まっている。なぜこうした事態になったのか。その原因と実態を県北の病院を例に探ってみた。
#1
 はじめに別掲の表をご覧いただきたい。これは宮城県内の県立病院と、ベッド数が100床以下の自治体病院の経営状況を表したものである。ほとんどの病院が多額の累積赤字を抱えていることがわかるだろう。「繰入金」とは、この赤字を埋めるための県や市町村からの補助金である。
 これらの補助金を投入しても、毎年度赤字が計上されるため、累積赤字はなかなか目減りしていない。実は、こうした慢性的な赤字経営に陥っているのは、表に掲げた病院だけではない。「県内の8割近くの病院が赤字体質になっており、中でもベッド数が200床−300床の大きな病院ほど赤字が膨らんでいる」(県北のある病院長)という。
 こうした赤字体質がひどくなったのは、厳密には病院ごとに違うものの、平成5年頃から顕著になってきたと言われるている。その原因を別の病院長はこう説明する。
「医療費を抑制するようにという方針が厚生省から打ち出され、このため各病院は診療報酬を抑えなくてはならなくなったんです。しかし、その一方で地域の核になる病院は、設備や人員を揃えなくてはならないし、ベッド数も相応の数がなくてはならない。医療機器は減価償却できるからまだいいにしても、看護婦などの人件費は固定費で、これが結構かかり、病院経費の中では最も大きなウエイトを占めている。また、ベッド数を充実させたのに、入院する患者が年々減少傾向にあり、回転が悪くなっている。収入が少なくなっているのに、設備や人員を充実させておかなくてはならないということで、どんどん赤字が膨らんでいったわけです」 この結果、どういうことが起こったかというと、診療科目並びに医者、看護婦の削減である。
 例えば、県北・志津川町の公立志津川総合病院では、泌尿器科の専任医師がさる6月で不在になったことに伴い、泌尿器科を閉鎖した。このため、同病院で人工透析治療を受けていた27人の腎臓病患者は、南方町や迫町のクリニックや病院への遠距離通院を余儀なくされている。
 志津川総合病院では2年前に産婦人科が閉鎖されており、この結果、志津川町内には産婦人科が1つもない状態にある。また、内科医も常勤の医者がこれまで4人いたのが、今では1人だけ。志津川総合病院の法定医師数は16人だが、それが現在は6人しかいない有り様である。
 一方、瀬峰町にある県立瀬峰病院。ここは県北地域の中核的病院として位置づけられているが、その実情は中核病院のイメージからはかなりかけ離れている。これまで診療科目は循環器科・心臓血管外科・呼吸器科・外科・消化器科・放射線科・神経内科・小児循環器科・糖尿病科の9科目あったが、医師がいなくなったため消化器科を今年4月から閉鎖している。また、8科目のうち週3日以上診療するのは循環器科・呼吸器科・外科の3つのみ。神経内科・小児循環器科・糖尿病科に至っては週1日、それも午前中だけに限られている。しかも神経内科・小児循環器科・糖尿病科には常勤の医師がおらず、他の病院から派遣してもらっている状態である。
 ここでは2つの病院の例しか挙げないが、経営難や医師不足から、診療科目の閉鎖や診療時間の短縮、医師が不在のために他の病院から派遣してもらうというケースは、どこの病院でも行なわれているという。それだけ地域医療が危機に瀕してるということであり、そのしわ寄せを地域の住民が受けていることになる。
(#2へ)
 
HOME
       購読申し込み