2002.7
第7号
6P

ダイジェスト
目次
 
広域合併論議が全国的に盛んになっている。宮城県内でも加美郡4町は法定協議会を設立し、柴田郡3町も法定協議会の立ち上げに邁進している。だが、そうした中で川井貞一・白石市長は「今の規模の合併では意味がない」と言及している。川井市長の合併に対する考えとはどのようなものなのか。改めてその持論を伺った。

−−川井市長は「今のような合併規模では意味がない」と述べています。まず、その根拠を。
川井 私は合併規模は最低でも20万人が必要であり、私どもの白石市周辺でいうなら、西7町がまとまるべきだというのが持論です。
 広域合併の目的は、地方分権の受け皿としての機能・規模をもつことに尽きる。つまり21世紀の国のシステムをどうしていくかということです。であれば、人口5−6万人ぐらいで3つの町が一緒になったとして、地方分権の受け皿足り得るかというと、難しいというのが、私の基本的な考えなんです。
(中略)
−− 合併論議の中で懸念されているのは「過疎化に拍車がかかる」ということです。
川井 実は広域合併の中で最も重要な課題は過疎化対策・少子高齢化対策です。これは自治体が直面している問題だ。2005年をピークに、それ以後は少子高齢化がどんどん進む。そうしたとき、自治体が生きる道は「個性あるまちづくり」をしていくしかない。それによって人口流出を抑え、新たにまちに定住してくれる人を増やしていくしかない。
 今のままでは確かに合併して面積は大きくなる。しかし4万−5万人規模では、何もできない。これが20−30万人となれば、まちづくりでもいろいろな構想が描けるんです。つまり、これからは自己完結型の市になるようなまちづくりをしていかなくては、生きていけないということだ。少子高齢化は歯止めがかからないわけだから。
(中略)
−− 合併について、多くの自治体は急ぎすぎていませんか。
川井 私もそう思う。合併特例債というアメを如何にもらうかということに躍起になっている感じがあります。平成17年が合併のタイムリミットだといって焦る必要はない。合併は百年の大計となればなおさらです。自治体では「財源がない」「財政が厳しい」と言うけれど、実際に生活している地域住民はそのことを肌で感じているわけではない。
−− 自治体関係者は「財源がない」ということを、地域住民にもっとわかるように説明しないと、合併論議はどうしてもトップダウンになり、住民からの盛り上がりにならないのでは。
川井 自治体関係者の説明でちょっと違うなと私が感じているのは、これから先に明るい見通しが立たないことは事実だとしても、その将来の暗さと合併を結びつけていることです。「このままでは町は生き残れない。だから合併しなくてはならない」というのでは、住民の気運が盛り上がるわけはないし、仕方がないから合併するのかというようにしか受け取れない。
 大事なのは将来は暗くないんだ、明るい展望があるんだ。合併はそのために必要だと説明することです。例えば、福祉や介護保険をとってみても、小さな町で特養施設をどんどん造ったら、介護保険料がどんどん上がるだけだ。合併すれば、介護保険料も安くなるというような、わかりやすい説明をする必要があります。
私は21世紀の基盤にあるのはIT化だと思うし、その上で芸術・文化など人生をエンジョイしていく上での施設をつくり、ソフト分野もよくしていく方向づけをしてきたつもりです。例えばIT分野で県内で最先端を走っているのは白石です。選挙の電子投票もいの一番に決定した。私が常々言っているのは「行政は舞台づくりで、舞台の上で踊って楽しむのは市民だ」ということ。ではIT化は何のためにするかというと、将来の保健・福祉・医療の一体化のためにはITが必要不可欠だからです。
−− 広域合併については首長方も勉強しながら進めていくしかない。その習熟度がまだなのに、合併特例債というアメに引きずられている気がします。
川井 合併は焦る必要はない。でも遅れてはいけない。そのためには首長や議会がよく勉強し、それを住民に説明していくことです。日本の行政制度というのは、モデル事業、実証事業が先行する。そのことからすると、県北4町、県南3町の合併に対しては、国から想像以上のアメが出されている気がする。だから早く進めなくてはいけないと焦っているような気がするけど、最も重要なのは住民本位になっているかどうかです。
合併という頂上への登り方を見ると、県南がボトムアップできたのに対し、県北は首長たちのトップダウンで進めているように思える。恐らく他の自治体は、この2つをモデルケースとして見ているふしがあり、成り行きが注目されるでしょうね。

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川井貞一
白石市長

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