2002.7
第7号
8P
ダイジェスト
目次
 
 寓話「オオカミ少年」の話は誰もが知っていよう。何度も「オオカミが来た」と吹聴し、本当に来たときは誰にも信じられず、村の財産の家畜を失ってしまう話である。 塩釜市の場外馬券場誘致もこれと同じだ。「仲卸市場の活性化になり、塩釜市にとってもプラス」と誘致推進派は言うが、 活性化やメリットとなる 根拠は何一つ示されてい ない。むしろ、市の経済に打撃を与える。しかも誘致しても、仲卸市場が活性しない根本的な問題があるのだ。

(本文 前半略) 
 組合員や町内会員が反発するのは、推進派が明 快な説明をしていないことに尽きる。実は、推進派は具体的な誘致のメリットの根拠となるデータを、何一つ持ち合わせていないのである。そのため曖昧模糊とした説明しかできないし、正式な手続きを踏んでいない同意書を金科玉条のようにかざし、それで押し切るしかない。このことは八木氏の発言からも窺える。小紙の取材に対して、八木氏はこう述べているのだ。
  −−ウインズ誘致で仲卸市場が活性化する根拠は何か?
「数字的にこれだけ伸びるという根拠はない。今 のままでは市場はさびれていくだけだ。それでウインズを誘致してみるということだ」
  −−ウインズに来た客に市場で買い物してもらう計画だが、どうやって買ってもらえるのか?
「私はハズレ馬券20枚持ってきたら、値段を1〜 2割値下げサービスして売ることを考えている。 そうやって集客を増やし、売上げを2割アップさせたい。それと魚以外の商品を扱うことも考えている。今のままではどうしようもない」
 推進派の責任者が言う 「活性化の根拠」がこれである。
(中略)
 それ以上に、仮りにウインズを誘致したとして も仲卸市場が活性化できない根本的な原因がある。市内のある経営者は次のように説明するのだ。 「一言で言えば商売の仕方がアコギなんです。つまり『ぼる商売』(不当に儲けること)をやっている。魚は漁のいい時、悪い時があり、そのため値段は時価になるが、仲卸市場では値段をふっか けている。これは昔からの体質だ。それがわから れてしまったから、地元 の人間はあそこで買う人 はほとんどいない。その ため売上げが落ちるから、 そのことを知らない塩釜 以外のお客に高く売りつける。
 鮮度も落ちている。というのも、仲卸市場の組合員で魚市場の競り資格をもっている者は数えるほどしかいない。しかも 塩釜の魚市場はマグロしか揚がらない。市場ではマグロ以外の物も売っているが、これらは仙台の仲卸市場から買って出している。1度卸された物 を買っているのだから、当然鮮度は落ちる。それでいて値段をぼる。この悪循環、体質を改めない限り、ウインズが来ても活性化できるわけがない。
 組合員の多くがウインズ誘致反対の声を挙げないのは、こうしたことをわかっていて『いずれ市場での商売を止めざるを得ない。ウインズ誘致はその理由づけになる』と踏んでいるからです」
 このことからすれば、塩釜市にウインズを誘致することはメリットがないどころか、むしろ市の経済に打撃を与えるだけということになるだろう。誘致計画によれば、ウ インズに自動車で来る人 を1日5千台と見込んでいる。
(中略)
 この交通渋滞は塩釜市の経済に多大な影響を与える。まず観光産業について言えば、塩釜市は松 島観光の中継地・休息地点になっている。松島へ の往来の際、ここで休憩 し、飲食・お土産を買う 行程である。だが、ウインズができて交通渋滞に拍車がかかれば、休憩する時間がなくなり、素通りせざるを得ない。
(中略)
 小売業にしても同じことが言える。塩釜市内にはジャスコや生協、ウジエスーパーなどの大型店が点在するが、これらの店は土曜・日曜は書き入れ時と考え、特売セールを実施している。それがウインズ開催で交通渋滞になれば、客足は鈍り、売上げは確実に減る。
(中略)
 ウインズを誘致することよりも、市が成すべきことは農林水産省に対して「水産業の復興策の指針」を求めることだろう。日本の食糧自給率はかつてに比べて激減している。一方では食生活のコメ離れ、魚離れが起きている。これらの監督官庁は言うまでもなく農水省である。
 このことから「日本の食糧自給率が低下している中で、農水省は水産業をどう位置づけ、復活させていくのか、示すべきだ」(水産関係者)という指摘がある。また「中央競馬会の監督官庁は水産業と同じ農水省だ。塩釜市長は農水省に『塩釜市にとって魚と競馬のどちらが大事なのか』と談判すべきでないか」(水産業者)という意見も出ている。
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