2002.8
第8号
5P
これは「問題」ではない。もはや歴然とした「事件」である。ルネッサンス館の架空工事については、急テンポで実態が浮き彫りになってきており、その"役者"と"シナリオ"も見えてきた。だが、この事件の源流とも言うべきは、菅原康平・石巻市長の姿勢そのものにある。改めて事件の本質を探ってみた。
8月6日の石巻市議会・百条委員会は圧巻だった。証人尋問された日立ビルシステムの東北支社長と担当者が"爆弾発言"したのである。二人は概要次のような実態を明らかにした。
「石巻産業創造(ISS)との会議で、ISSの代表者として渡辺和夫氏を紹介された。渡辺氏から『この工事は民間工事であって、公共工事ではない。施主(ISS)の意向に従うように』と言われた。末富一氏(末富総研とBJシステム社長)については、五洋建設の部長から『ISSに影響力がある人物』として紹介された。その後、末富氏は渡辺氏と同じくISSの責任者として動いていた。
日立ビルシステムは末富総研と覚え書きを交わし、販売手数料として500万円支払った。だが、末富氏とコンサルタント契約は結んでいないし、契約書もない。
昨年7月、当社(日立ビルシステム)の担当者が渡辺、末富氏から『ISSには予算がある。何か名目をつけて仕事をつくれないか』と要請された。『そんなことはできない』と断ると『ルネッサンス館の総合ビル管理から外されてもいいのか』『従わないなら、初めからの計画がダメになる。どうしてくれるんだ』と脅された。それでも断ると『それなら(本工事で実際にかかった費用と、支払いを受けた金額の差額を補填した分の)3885万円をよこせ」と言われ、それに従った。
渡辺、末富氏はISSの予算を自分たちに還流させるために、日立ビルシステムやトンネル会社を経由させて、不正に取得した。工事は全て本体工事で納まっており、追加工事が不要なことは明らかだった。日立ビルシステムとしては、あくまで工事代金の値増し分を支払ってほしいということで、これは渡辺氏も内諾し、五洋建設ともその契約をした」 というものである。
(中略)
そもそも今回の事件の発端は菅原市長にあると言っても過言ではない。以下にその根拠を示してみる。
第1点は「渡辺和夫氏への過度な入れ込み」である。今回の事件の原因は一にも二にも、このことに尽きている。平成11年6月、ISSは「シンクタンク・ちえとぴあ」と業務委託契約を結んだ。ISSの事業計画策定を委託したものである。これだけ見ると、企業同士が契約を交わしたと思われるだろう。だが、実態はそうではない。ISSは「ちえとぴあ」と契約したのではなく「渡辺和夫氏個人」と契約したのである。このことはISSの資料に「当社の事業計画をシンクタンク・ちえとぴあの渡辺和夫先生に委託する理由」と書かれていることからも明白である。
(中略)
第二点は、菅原市長の「経営感覚の無知」である。先述したように、ISSは資本金約14億円と錚々たる企業規模である。事業内容も「トゥモロービジネスタウンに集積する企業の情報分野の中心拠点」を掲げている。だが、それでいて人員は常勤職員がわずか2名にすぎず、この事業の専門家ではない。社長として事業経営をする立場にある菅原市長と、名目はサポーティングスタッフと言いながらも実質的な運営者だった渡辺氏は非常勤である。
この陣容で事業経営ができると、菅原市長は判断したからこそ、こうした形になったのだろうが、これだけ重要な役割を担っている企業の組織が、こうまでいびつなことは一般的には考えられない。恐らく他に存在してもいないだろう。誰が見ても「奇形的企業」である。
トゥモロービジネスタウン及びISSに直接・間接に投下されたこれまでの全費用は、実に86億円以上にのぼる(このうち土地造成費は72億円)。石巻市はすでに24億円を超える費用を負担している。責任者が不在の状態で、資金だけが投入されており、今後の経緯如何によっては、さらなる負担が生じる可能性は充分にある。このことからしても、菅原市長の責任は重いものがある。
今後、菅原市長は渡辺氏同様に証人尋問されることは確実である。仮りに不正な金の授受がなかったとしても、市長としての行政責任、ISS社長としての経営責任は免れ得ないだろう。
(後略)
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