この裁判は当初「公立刈田綜合病院の移転新築に伴う実施設計を、随意契約で特定企業体に委託発注するのは地方自治法に違反する」として、病院移転に反対する白石市の住民50人が、病院管理者である川井貞一・白石市長に対し、契約の差し止めを求め、平成11年5月に仙台地裁に提訴したものである。
だが、提訴直後に病院管理組合はこの企業体と実施設計の委託契約を締結。契約料のうちの一部がすでに支払われたことから、原告側は同年12月に設計料の返還を求めて改めて提訴。現在その審理が進められている。
訴状の中で原告側は、(1)委託契約した共同企業体のメンバーは、病院移転新築計画の構想策定委員会のメンバーなこと、
(2)この共同企業体はこれまで病院設計の実績がないこと−−を指摘。このことから「この共同体が設計委託することは最初から決定していたものであり、こうした随意契約は地方自治法に違反している」と主張する。
これに対し、被告側の川井市長は、
(1)設計は芸術であり、競争入札はなじまない、 (2)共同企業体のメンバーは超一級の才能と経験を有し、高い評価を受けている、(3)共同企業体のメンバーは白石市の街づくりにこれまでも関わっており、街づくりの理念を熟知している−−と反論。結論として「優秀な建築家は競争入札に参加してくれない。だから随意契約で委託してきたのであり、随意契約は管理者の裁量でできる」と述べる。
地方自治法では「指名競争入札、随意契約または競り売りは、政令で定める場合に該当するときに限り行使できる」と規定。「性質または目的が競争入札に適しない場合は、随意契約が行なえる」と謳っている。 裁判の争点は設計委託契約が「随意契約として適切なものかどうか」ということであり、「その線引きは極めて難しい」(司法関係者)とされていることからして、最終的に裁判所がどういう判断を下すか。今後の自治体発注の在り方にも影響を与えかねないだけに注目されるところだ。
(以下略)