前号に記したように、迫町の「町道拡幅工事疑惑」は、住民有志グループが伊藤吉衛・迫町長を告発し、迫町長も住民グループを逆告訴した。仙台検察庁特別刑事部は、住民グループの告発を不起訴処分とし、これを受けて迫町長は告訴を取り下げた。ところがその後、迫町長は住民グループと小誌に対して、慰謝料を求める「損害賠償請求」の民事訴訟を起こしたのである。この訴訟の内容に対し、小誌は反駁するとともに、町長の「道義のなさ」を明らかにしたい。
第三に、「町長としての名誉が毀損された」と言うのであれば、なぜ伊藤町長は告訴を取り下げたのだろう。これこそ「名誉毀損」で訴えたものであり、取り下げる必要はなかったし、小誌に対しても訴訟を加えればよかったはずだ。ところが伊藤町長は告訴を取り下げ、改めて「損害賠償請求」を起こした。およそ公職にある者が名誉を毀損された場合、何の罪状で訴えるかと言えば「名誉毀損罪」であろう。ところが伊藤町長はそうではない。損害賠償請求である(訴状には「名誉が毀損された」という文言はあっても、「名誉毀損の罪に該当する」との文言は一言半句も記されていない)。
また、「名誉を毀損された者」が要求することは、何よりもまず「名誉の回復」であろう。そのために訴訟を起こしたのだ。そして名誉回復のために公職にある者が要求することは「謝罪広告の掲載」もしくは「謝罪の記者会見」というのが通例である。満天下に自らの潔白を証明させることが、名誉を回復することになり、ある意味ではこれ以外に名誉回復の手段はないとも言える。
ところが伊藤町長は今回の訴訟では、そうした名誉回復策を何一つ要求していない。要求しているのは「慰謝料としての損害賠償」のみである。小誌は町長に言いたい。「果たして慰謝料を得るだけで、町長としての名誉が回復したことになると考えているのか」と。町長は「なる」と考えているのだろう。だからこその慰謝料のみの要求なのだろう。