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桜井 一番大きな問題は貸し手と借り手の立場の差がまだ改善されていないということだ。中小企業の経営者は今、貸し渋りや貸し剥がしが一時期よりはよくなったというけど、依然として行なわれている。仮りに融資を受けることができたとしても、定期預金を積んでくれとか、さまざまな要求が突きつけられている。そうした是正を一つ一つしていかなくてはいけない。それから金融庁そのものが中小企業に対して債権分類の評価方法を決めている。金融検査マニュアルがそれだが、これが実態に合っていないので、これを何としても直さなくてはならない。
──あれはかなり不評ですね。
桜井 ものすごく悪い。従来の商いの慣行を全て壊した。例えば2期連続赤字だと「要注意先」と分類されるから、銀行は怖くてお金を貸せない。これは銀行だけの責任ではなくて、実は金融庁の金融政策そのものに大きな問題がある。銀行が中小企業を救済するとなれば、債権放棄するか条件緩和、条件変更をするしか手だてがない。昔は条件変更はOKだった。例えば金利だけ払うから元金返済は待ってくれというように。今はそれが3カ月やっただけで不良債権になる。こんなことがやられているから全部不良債権扱いになってしまうし、銀行も貸させなくなっている。こういう実態に合っていない金融政策を根本から変えなくてはいけないと思う。
「諸悪の根源は 竹中平蔵だ」
──自民党の金融政策がおかしいということですか。
桜井 自民党じゃない、竹中平蔵です。彼が諸悪の根源だ。学者だから何もわかっていない。わかっていないのに、ただ頭で政策を作っているだけだ。それをありがたがっている小泉総理にも大きな問題がある。自民党は小泉─ 竹中ラインで動かしていることはわかっている。自民党を勝たせるとこうなるんです、今の自民党では。昔の自民党じゃない。破壊政策であり、地域を破壊するだけだ。大企業に対してはものすごく優遇しているけど、中小企業は全然ダメ。だから地域経済はいつまでたっても元気にならない。これが一番のガンです。
(中略)
衆議院選、民主党
惨敗の原因は何か
──ところで昨年の衆議院選で民主党は惨敗しました。この結果をどう分析していますか。
桜井 僕は負けると思っていた。ここまで惨敗するとは予想しなかったけれど、勝てるとは思わなかった。というのは、真面目な地域活動が足りないもの。地域活動しているところは全部勝っている。東京を見てほしい。1勝24敗、勝ったのは菅直人さんだけだ。神奈川県は全敗。大阪も2勝17敗。惨憺たるものです。
──今まで得意としていた大都市圏でしたが。
桜井 得意といっても風だった。その風も民主党が起こしたものでなく、敵失があって、年金問題とかで民主党に風が吹いただけのことだ。最初は期待感があって民主に風が吹いたかも知れないし、政府・自民党の失敗によって風が吹いたかも知れない。でも自分たちで風を起こしたものじゃない。自分たちで起こしていたらもっと投票率は上がっていた。投票率が上がらないと嘆いていて、今回投票率が上がったら負けた。全然ダメです。
(中略)
──民主党の本質的な支持基盤層というのはどこにあるんですか。
桜井 本当であればサラリーマンを中心とした層にあると僕は思う。そうするとサラリーマンの集まるところというのは連合でしょう。だけどその連合に対してすら、自分たちで一線を画すと言っている。これだって戦略的なミスだ。労働組合の幹部層がイメージ的にいわゆる労働貴族と言われていて、一般的な見方としてそこに問題があるとされている。だからダメだとマスコミから叩かれる。そのためなのか、これからは一線を画すと我が党は言うけど、我が党はサラリーマン・労働者のための政党だと言うなら、連合と一線を画すこと自体おかしい。
──実際、前原誠司代表は連合と一線を画すと発言しました。
桜井 要はつき合い方の問題だ。僕は連合宮城とはうまくいっている。僕がこの前辞めた星新一会長に言っているのは「連合とは必ずしも意見が合わないこともある。だけど8割意見・考え方が合わなくなれば、連合から支援される価値のない議員だ。政策的に全く違うということだから。だから自分自身でいろいろ調べてみて、こういう政策が正しいと思うことをやるし、それはもちろん連合との話もあって、参考にするけど、全部が全部連合に従うことにはならないですよ」という話をした。星さんはそれでいいと言う。
だからそういうお互いの関係があって成り立っていけばいいということだ。連合はサラリーマンの団体であり、民主党はサラリーマンの政党なんです。これは動かしがたい事実です。
(中略)
政治家は演歌歌手と
企業経営者に学ぶべし
──民主党が風頼みでない、確固たる支持基盤をつくるためには、今後どうすべきですか。
桜井 地に張った活動をしていくしかない。いわゆる昔のドブ板選挙をしなくてはダメだ。それも選挙のときだけのドブ板じゃなくて、日頃からのドブ板活動しなくちゃダメだ。街頭で訴え続けても必ずしも評価は得られない。街頭での姿を見て国民・県民は評価するでしょうか。僕は違うと思う。やはりその本人が何を考えているのかということを見て、評価してくれていると思う。
演歌は1曲売れるまでにずいぶん時間がかかる。でも1曲売れたら10年食えるいい商売だという(笑い)。なぜそうなるのかというと、演歌歌手は全国に後援会組織をつくっている。僕が知っている歌手は250カ所の後援会組織をもっている。彼が言うには、後援会でレコードが1万2千枚くらい売れると、あとは口コミで拡がっていって5万枚くらい売れる。演歌で5万枚というと大ヒットで、それで紅白歌合戦に出場となる。それで10年食えるのは後援会があるからだという。
政治家もそれと同じで、僕は演歌歌手にならなくてはいけないと思っている。演歌歌手の活動と政治家の活動は同じです。地を這った活動でいろいろなところで、いろいろな人たちと話をして、その上で自分の考えを知ってもらって組織を拡げていく。これは時間がかかるし、やるのは大変だ。でも、こうした当たり前の活動をしていかないとよくならない。
それから大事なことは、企業経営者の方法論を政治家はもっと採り入れるべきだということです。僕が見ている中小企業の元気な社長さんたちは、まず、きちんとしたマーケティングをやっている。顧客満足度調査をやる。自分たちの商品の差別化を行なっている。必要なときには連携を行なうなど、当たり前の行動をとっている。
では政治・政治家にとってのマーケティングとは何かというと、今、国民の皆さんは何に不満を感じているのか。何を変えてほしいと思っているのか。そのことをきちんと把握しているかどうか。顧客満足度調査でいえば、マニフェスト選挙でマニフェストで勝ったという議員がいる。では民主党のマニフェストの何がよかったのか。何が評価されたのか。そうしたことが全然成されていない。だから同じことの繰り返しになる。
(中略)
──観光産業も地域活性化には欠かせないと思うのですが、各市町村が独自にパンフレットを作成したりして呼びかけているけど、県と各市町村が連携した訴求策・集客策がないように思いますが。
桜井 宮城県に本当に目玉になる観光資源があるのか。あったとしてうまく活用しているのかどうかというところから検討すべきです。むしろ、その点が忘れられている気がする。
例えば塩釜神社は安産の神様で、美智子皇后も雅子妃殿下もあそこの腹帯を使っている。そうしたことを知っている人は本当に少ないし、神社や塩釜市、県がそうしたことをアピールしているのかどうか。皇族は日本最大のスターですよ(笑い)。もっとコマーシャルしないと。これは連携以前の問題だ。自分たちが保有している資源をもっと評価すべきだと思う。
(後略) |