| パロス 2006 11月号(第20号) ダイジェスト article digest 1 |
|
深層究明 第3弾! 「御用組合」に堕した県社会福祉協議会労組の惨状 |
「昇進のアメ」で組合幹部は使用者側の走狗に
|
| 小誌は前々号で浅野史郎・県社会福祉協議会会長が如何に会長として不適任かを記載。
前号では県社協・県福祉事業団・宮城いきいき財団の三社統合がもたらした弊害について
レポートした。今号では県社協の原動力とも言うべき職員たちで構成する県社協労働組合の堕落ぶりの実態を詳述する。 |
管理職が組合に加入し、執行部のトップに就任
今年8月現在、県社会福祉協議会の職員は約660名を数える(役員を除き部長・施設長以下)。このうち旧県福祉事業団系の職員は約400名おり、そのうち372名が県社協労働組合(以下「職員労組」と記載)に加入している(旧県社協・旧宮城いきいき財団は労働組合を結成していない)。
自治労傘下のこの職員労組は、一般の労働組合とかなり性格を異にしている。その一つは、組合員の構成にある。正職員・嘱託・臨時職員が加入しているほかに、「賛助組合員」という名目で管理職が加わっていることだ(34名が加入)。
労働組合とは敢えて言うまでもなく、労働者が主体となって労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を図るために自主的に組織する団体である。組合活動の主たるものは賃金をはじめとする待遇改善や職場・雇用の確保であり、必然的に使用者側と交渉、対峙する立場にある。そのため使用者側に位置する管理職を組合に入れることはないし、入ってはおかしい。組合活動の情報が漏れることはもちろん、緊張かつ健全な労使関係が損なわれる懸念、つまり労使の癒着が生じることになりかねないからだ。
ところが県社協では「課長以上を管理職としているが、課長どころか施設の副園長や施設長が組合員になっている」(元県社協職員)。事実、現在の労組執行委員長は施設の副園長である。組合にとって対立的な関係にある管理職が加入している、ましてやそのトップに就いている組合など、恐らく前代未聞だろう。
これだけでも異様な組合と言えるが、もう一つ奇怪なのは、この職員労組が「労使協調」というのも憚られるほどに使用者側になびいていることだ。有り体に言えば「御用組合」であり、労働組合の体をなしていない。そのことは以下の例が如実に示している。 (中略)
県社協労働組合の歴代執行委員長と現在の主要執行部(敬称略) |
役職名 |
氏名 |
県社協内での現在のポスト |
元執行委員長 |
小岩 耕造 |
事務局人材育成・研修部長 |
〃 |
加藤 祐一 |
事務局地域福祉部次長 |
〃 |
高橋 勝彦 |
船形コロニー総合施設長 |
現執行委員長 |
大竹 伸之 |
船形コロニーかまくら園副園長 |
副執行委員長 |
佐々木 清一 |
船形コロニーおおくら園係長 |
〃 |
井林 稔 |
事務局施設支援係長 |
〃 |
高橋 彰子 |
船形コロニーとがくら園係長 |
〃 |
鹿嶋 俊彦 |
事務局生活資金係長 |
〃 |
大和田 学 |
事務局ボランティアセンター主事 |
書記長 |
稲辺 康宏 |
船形コロニー事務管理センター係長 |
財政部長 |
伊東 和美 |
船形コロニーおおくら園主査 |
財政監事 |
櫻井 幸久 |
仙台南地域福祉サービスセンター主任主査 |
〃 |
鈴木 文俊 |
船形コロニー給付担当係長 |
|
|
生殺与奪権握られ、田島氏に追従
職員労組が使用者側になぜこうした阿諛追従をするようになったのか。その最大かつ唯一の理由は田島良昭氏による。田島氏は平成8年4月、浅野知事に招聘されて福祉事業団副理事長に就任した。(編集部注/当時の理事長は副知事が兼務で、これにより田島氏は事実上、福祉事業団のトップに就いたことになる。)
この副理事長時代の平成10年、田島氏は全職員に対してアンケートをとった。無記名で各項目に○×式で記入する形だが、要は「理事長を支持するかどうか」というものである。組織のトップが「自分を支持するか」などという調査をすること自体おかしいし前代未聞と言えるが、職員の受け止め方は「おかしい」という以上に「空恐ろしさ」を感じたという。
「これは『踏み絵』だと思いました。アンケートは無記名だけど、誰が支持し、支持しないかはおおよその見当がつく。仮りに支持しないと書いたら、これからどうなるか。だから面従腹背で渋々支持すると書いた職員が多かったはずです」(旧福祉事業団職員)この結果をうけて、田島氏は「職員の8割以上から支持された」と豪語した。
田島氏が行なったことはそれだけではない。「アメとムチ」を使い分けて、職員を自分になびくように仕向けたのだ。
「昇進をエサに自分に従うようにしたんです。逆に反発する者は徹底的に干し、昇進させないことはもちろん、左遷しました」(旧福祉事業団職員)
この「両面作戦」に職員たちが震え上がったことは想像に難くない。「田島氏に自分たちの生殺与奪権が握られている」(旧福祉事業団職員)と悟ったからだ。そのため自らの生活を守らざるを得ないことから、大方の職員が沈黙し、田島氏の為すがままに従うことになった。
中でも組合執行部は完全に田島氏に追随した。別表は歴代執行委員長と現執行部のリストである。彼らが如何に昇進しているかがわかろう。
(中略)
やる気を失い、ノウハウ・サービスも低下
深刻なのはこうした使用者側に組合執行部が擦り寄った弊害が、職員に大きな影を落としていることだ。
「組合幹部だけが昇進し、我々一般職員は給与も下がり、職場がなくなる不安がある。頑張れと言われても頑張れないですよ。そのため辞めていく者も結構いるし、残っている者もほとんどは士気がなく、やる気を失っています」(県社協職員)
「田島氏が理事長だった頃、田島氏は我々事業団職員のことを外で『無能だ』とかボロクソに言い、内では『能力のない者は辞めてもらう』と言っていた。あれで職員の多くは不安になった。今でもその体質は変わっていない。組合幹部だけでしょう、いい目を見ているのは」(元県社協職員)
職員のこうした士気の喪失が何をもたらすか。サービスの低下である。世上、旧福祉事業団は福祉の専門家集団として高レベルのノウハウをもっていると受け止められている。だが、そうではない。民間施設運営者の数人は「確かに建物が老朽化しているのは致し方ないとしても、あの施設内は何だろう。汚れているし、整理整頓ができていない。職員もジャージなど汚い恰好をしている。民間施設であんなことをしたら、誰も入所や利用しないですよ。ノウハウがあるなんてウソです。福祉の基本がなってないんだから」と異口同音に話す。
(中略)
今年4月から施行された指定管理者制度で、県社協はそれまで旧福祉事業団が県から受託運営していた施設運営・管理を任された。委託期間は5年間で、「県社協上層部と労組幹部はその後も受託できるだろうと高をくくっているフシがある」(県社協職員)という。
頼みの浅野会長が組合員を救うかどうか
しかし、その思惑通りにいくかどうかは疑問である。@県と県社協の福祉施策が合致しないこと、A県社協の職員給与は県の委託費から充当されているが、県は財政難であり、極力委託費を削減したいと考えていること、B前述したように、県社協は思った以上のノウハウがなく、事故・トラブルがあること などの現実があるからだ。
(中略)
現在、組合執行部が威勢を勝っているのは「浅野会長がいる」という、ただ一点でしかない。その浅野会長の生殺与奪権は少なくとも県が握っている。これは外郭団体の宿命である。そのことからすれば、浅野会長にすがっている職員労組(特に執行部)は「俎の鯉」でしかない。これまで田島氏に追従し、生殺与奪権を牛耳られてきた職員労組が、今また間接的とはいえ県に生殺与奪権を握られている。自主的な組合活動をしてこなかったツケが今後ますます表面化することは間違いなさそうである。 |