第4号
(2002.1)
 8ページ
 掲載記事





シリーズTOP

志津川町商工会
  地域振興の牽引役を担う商工会・商工会議所の活動を、シリーズで紹介している「商工会通信」。 4回目の今回は、南三陸の中心にある志津川町商工会の取り組みをお伝えする。

  志津川町商工会(佐藤仁会長)の会員数は平成12年度末で460名。年度当初に比べてわずかながらも増加しており、ここ数年をみても減少していない。組織率(町内の商工業者に占める会員の割合)も65・9%と、県内の商工会の中では上位に位置する。それだけ志津川商工会が地元の経済活動に大きな役割を担っていると同時に、地元商工業者から期待されていることを物語ろう。
 志津川町の主要産業は水産業と農業。水産業ではカキ、ワカメ、ホタテなどの養殖漁業、農業は花卉栽培と畜産が特色になっている。もっとも、養殖、花卉栽培は韓国などの輸入産の攻勢を受けており、畜産も狂牛病の発生により、事業環境は 厳しい状況にある。
 また一方では、不況の影響により公共事業や民間設備工事の減少で、町内への資金還流が細弱化しており、町内での消費購買率の低下に伴う商圏基盤の弱体化など、経済環境も深刻さを増しつつ ある。
 こうした状況下にあって、志津川商工会では経営改善普及委員会・地域振興対策委員会・組織財政確立委員会の3委員会を設置。大は地域振興・地域活性化のための企画実践から、小は会員への徹底したサービスの遂行に至るまで、広範な活動 に取り組んでいる。
 まず経営改善普及事業としては、
 @経営指導の実践
  (経営指導員が巡回指導計画を策定し、会員の金融・税務・経理・経営・労務など経営全般について指導するもの)
 A記帳機械化事業
  (記帳代行の啓蒙・普及と加入の奨励を促進するとともに、記帳の指導を展開していく)
 B調査研究活動
  (会員が抱える諸々の問題の克服と今後の指導運営のための調査研究と情報収集と情報提供)
 C講習会・講演会の開催
  (会員の意識向上と経営改善のための各種講演会・研修会の開催)
 D経営指導総合バックアップ事業
  (日経テレコン・POS情報を活用した情報提供と、インターネットを利用した地域情報の発信と会員事業所の販売促進の展開)
  −−を主要テー マに据えて展開中だ。
 この中でも特筆されるのは、@の巡回訪問とDのインターネットの活用である。前者の場合、訪問した際に指導するのみでなく、商工会に対する会員の率直な意見・要望を聞き出して、それを商工会の組織づくりに反映させている。「会員同士が一堂に集まったところでは、思ったこともなかなか言えないが、個別に訪問すると具体的な意見が出される。それが商工会の機能の向上につながるし、会員と商工会をつなぐコミュニケーションにもなります」(商工会幹部)。巡回指導と並行したローラー訪問を実践しているのは、県内の商工会でも志津川商工会だけと言われる。会員からの評価も高く、商工会活動の手法の一つとして、他の商工会の参考になり そうだ。
 後者のインターネットの活用については、志津川商工会では平成12年度にホームページを開設。産業・観光など地域のあらゆる情報を、きめこまかく発信している。この中の企業情報の欄には、現在84の事業所が情報を掲載して事業活動に役立てており、活用頻度は今後さらに高まりそうである。
 一方、地域振興事業としては、総合振興事業をはじめ商業・工業・観光サービスの4部門の振興事業を主要に据えて取り 組んでいる。
 このうち総合振興事業では、@産業団体連絡協議会の実践(各産業団体同士の情報・意見交換活動)、A指定ゴミ袋の取り扱い(志津川町から商工会が指定ゴミ袋の販売の権限を委譲し、町内の取扱店に販売する)、B再商品化委託業務の推進(「容器包装リサイクル法」に基づく再商品化義務の契約業務について、商工会がパソコンを利用してオンラインによる業務代行を実施。併せて「容器包装リサイクル法」の啓蒙・普及を展開)−−に注力している。
 このうちで商工会として最も重要視しているのは、@の産業団体連絡協議会の実践活動である。冒頭に触れたように、志津川町の地域経済も他の市町村同様に楽観できる状況にない。これを打開していくには行政や一団体が単独で対処できるものではないことから、商工会はじめ農協・漁協・観光協会・商業組合・森林組合の地元産業団体に行政も交えた連絡協議会を平成12年度に発足。地域振興事業の活性化をどう展開していくか、議論を重ねている。各種団体 と行政が一堂に結集して、 地域振興策を検討・実践していくことは、県内でも例がない取り組みだと 言えよう。
 商業振興事業としては、
 @産業フェアへの参加
 A年末年始売り出しの実施・協力
 B地区商店街及び業種別組合の育成指導
 C志津川町共同カレンダーの作成・配布
  −−などが主な事業。中でも産業フェアはすでに15回を数える、年に1度の恒例の一大イベント。年末 年始の売り出しとともに、 志津川町を町内外にアピールし、地元産業の振興と地域経済に活力を与える起爆剤になるだけに、商工会や各産業団体では ひときわ力を入れている。
 工業振興事業については、商工会としては中・長期ビジョンとして捉えている。土木建設業以外に志津川町ではこれといった工業が現状では見当たらない。その土建業は長引く不況と政府の改革構造改革に伴う公共事業 の見直し・削減策により、 弱体化していることは全国に共通している。かといって、企業・工場誘致や新たな産業の創出も難 しい。
 このため商工会は町民から広く「志津川が元気 になるアイデア」を募集。
このアイデアを参考にしながら、町当局と工業懇談会を定期的に開催し、意見交換などを通して工 業振興策を協議している。
産業振興は一朝一夕にいくものではないが、志津川地域は自然環境に恵まれたところ。今後、新たな産業が生まれる可能性 は少なくない。
 その志津川を現在アピールし、元気づかせていく上で欠かせないのが、商工会も観光・サービス振興事業として積極的に参画している各種のお祭り行事と言えるだろう。特に7月に行なわれる志津川湾夏まつりはすでに38回を数えるほど。商工会はこの大会運営に全面 的に協力するだけでなく、 中心的なイベントの花火大会を実施するなど、祭りの成功の原動力になっ ている。
 ちなみに、この夏まつりでは「チャリティービアガーデン」が開催されているが、この収益金を商工会では30年以上にわたって志津川町社会福祉協議会に寄付し続けている。商工会の隠れた貢献 と言えるだろう。
 同様に、南三陸の夏の風物詩として親しまれている8月の流灯会では、観光協会などと共催。ナイアガラ花火を復活させて、祭りを引き立たせることに尽力した。また、商工会として町内宿泊マップを作成し、観光客の誘致に地道な貢献にも余 念がない。
 他方、青年部では単独事業として「カップリングパーティー」を開催。過疎化の克服や後継者対策のユニークな企画とし て、好評を博している。
 このほかにも社会福祉 運動や交通事故撲滅運動、 環境美化運動など、文字通り「地元振興のオールラウンドプレーヤー」のような広範な活動に、商工会として取り組んでい る。
 佐藤仁会長は「町民のかゆいところに手が届くようなサービスをめざしたい。同時に、地域振興をどうすべきかが今こそ問われている。そのために商工会を強くてやさしい組織にしていきたい」と語る。50歳と若い佐藤会長を先頭に、志津川商工会が今後どういう活動をしていくか。注目され るところである。

志津川町メモ

 志津川町は面積約
124・23平方キ
ロ、人口約1万4千
人。南三陸の中心に
位置し、海、山の自
然に恵まれた環境が
特徴。産業はカキ、
ワカメ、ホタテ、ギ
ンザケの養殖漁業と
花卉栽培のほか、風
光明媚な景色を生か
した観光事業も大き
な柱になっている。

シリーズTOP  
HOME