第5号
(2002.4)
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宮崎町商工会
  地域振興の牽引役を担う商工会・商工会議所の活動を、シリーズで紹介している「商工会通信」。5回目は、過疎化克服が課題となっている宮崎町商工会の取り組みをお伝えする。

 宮崎町商工会(加藤嘉一会長)は、地元商工業者200名のうち、そのほとんどの197名が会員に加入。組織率の高さは県内69ある商工会の中でも5本の指に入る。
 だが、奥羽山脈の中山間地に位置する宮崎町は、農業以外にこれといった産業をもたない。このため、若者の転出と少子高齢化による過疎化、他の市町村での消費・購買など、町の衰退現象が深刻化しており、これらの克服が宮崎町商工会にとっても年来の重要課題になっている。
 課題を克服することは「町おこし」をしていくことと同義。そこで商工会では「わが町の基幹産業は農業。であれば、会員だけでなく、1500世帯の町民全体と一緒に活動していく」ことを基本理念に据えて企画・実践してきている。
 この「町おこし」のベースとなったのは、平成9年に行なわれた地域資源調査事業である。これは「地場産品開発」「観光資源開発」「まちづくり研究」の3部門に分け、それぞれ部会を設置。宮崎町の「むらおこし事業」(注・宮崎町商工会ではこう命名している)を検討・実践したものだ。そして、この中から生み出された二つの企画が、今や一大イベントとして定着している。
 その一つが平成11年10月からスタートした「みやざき特産市」である。毎週土曜・日曜日に野菜・漬物・陶芸・木工など、地元の特産品を「まちづくりセンター」(注・宮崎町商工会では商工会の建物をこう名づけている)に一堂に持ちよらせて販売するもので、商工会と宮崎むらおこし実行委員会が協力して運営している。販売資格は個人・グループを問わず、町民なら誰でも参加できる。品物も少量・季節限定品・通年でも一切自由。商工会が主体となって「特産市」を運営しているのは宮崎町だけと言われており、しかもこれほど制約のないフリーマーケットも例をみないだろう。
 そのせいか、出品者も回を重ねるごとに増えており、今や50数名を数えるとか。年収も800万円と、スタート初年度と比べて飛躍的に伸びている。それだけ評判になっている証左であろう。
 もう一つのイベントは「宮崎町・食の文化祭」だ。宮崎町がもつ豊かな食材を生かした郷土料理・伝統料理・家庭料理など、町民が自由につくったものを一堂に展示するもので、「特産市」と軌を一にして平成11年11月から年1回開催されている。昨年の第3回目には1千品を超える料理が並んだほか、1万1千食分の試食コーナーも設置。町内外の大勢の来場者で賑わった。
 「特産市」と「食の文化祭」の狙いについて、商工会ではこう語る。
 「宮崎町は食材が豊富で、この食材を振興させることが地域振興のカギを握っている。そのためには地域循環型にし、農家が潤うようにしなくてはならない。これまで食材や木工などの特産品は、仙台などに出回っても、地元では手に入れることができなかった。それで『地元にこういう素晴らしい物があるんだ』ということを、まず町民に知ってもらう必要があるだろうと考えたわけです。 それと、地域コミュニケーションを図っていく上で、核になるのは家庭の団らんです。親や祖父母が丹精込めてつくった食材を、家族が食卓を囲みながら味わう。それが町の文化を支える基礎であり、子供たちにも受け継いでほしいと−−」
 その努力の賜物だろう。この二つの企画を行なったことにより、「町民が参加意識をもち、表情も生き生きして、楽しみにしているようです」という。マスコミなどにも取り上げられたことから、今や「宮崎町の顔」として知られており、町のPRにもなっている。特に「食の文化祭」は「日本で初めての町民総参加による食の祭典」として、東北経済産業局が協賛し、県内のテレビ局と新聞社が後援しているほど。一商工会のイベントがこれだけの運営規模で行なわれるのは例がない。
 感心させられるのは、こうした企画をやりっ放しにしていないことである。「食の文化祭」開催後には記念誌や報告書、反省会資料などを作成し、町民にも配布している。記念誌・報告書には全出品者とその料理・つくり方が網羅されており「宮崎町・食の百科事典」と呼べるもの。これだけでも貴重な文化財と言えるだろう。
 さらには、平成13年3月には「なじょすっぺ食のこれから」と題して、「宮崎町の食と未来を考える」シンポジウムを開催。町民への浸透の働きかけと、町外への発信にも努めている。一つの企画を通して派生的な取り組みを展開していく好例であろう。
 この二つの企画と同列に位置するものとして、「ナイトバザール宮崎」が挙げられる。地元商工業の衰退を食い止めようとの狙いで、商工会青年部が企画したもので、平成4年からスタート。前述した平成9年の「むらおこし事業」の検討の際に見直しをして、現在に至っている。毎年3回、6月・8月・10月の第3土曜日の夜に空き地やテントを利用した夜店を開催。当日は歩行者天国にして、40余りの店舗が居並ぶ。金魚すくいや射的といったのゲームのほかに、太鼓や踊りの披露、宝くじやスタンプラリーなどもあり、町民の楽しみの一つになっている。
 これらの「イベント的な事業」と並行して、宮崎町商工会では地元商店街の活性化事業も展開している。その一つとして実施しているのが「ポイントカード事業」だ。宮崎町スタンプ会と連携して、平成9年から「どどんこぱっくカード」とネーミングしたカードを発行。買い上げの際にスタンプを押して、そのポイント数によって特典が得られる仕組みである。
 この第2弾として、平成11年からは「商品券事業」も展開中だ。ギフト用商品券・10%割引割引商品券を発行し、2万円分の買い上げで、葬祭用品のレンタルサービスや各種お祝い・見舞い品をサービスするというものである。
 宮崎町の場合、町民が買物をする7割は宮崎町以外で買っているという深刻な問題がある。「これを何とか打破しなくては、町の活性はできない」と商工会が思うのは当然であり、そのため「町民が喜び、町のためになるなら何でもやる」という前向きな姿勢で臨んでおり、一連の企画もこうした思いから誕生したことは言うまでもない。
 一方、前述した「特産市」「食の文化祭」と連動する取り組みとして、平成12年からは「ふるさとみやざき手づくりギフト」の販売も行なっている。きのこや漬物など、町の自慢の食材を全国的に販売するもので、生産者の顔を載せた「顔の見える手づくりギフト」が特徴。
 商工会自らがこうしたギフト商品を販売するのは異例であり、ユニークな企画として注目されている。これなども宮崎町商工会が「町の特産品を全国にPRし、産業振興と地域の活性化を図っていきたい」という熱い意欲の産物と言えるだろう。
 こうした多くの事業をたゆまず行なっている宮崎町商工会のスタッフはといえば、事務局長を含めてわずかに4名である。商工会長を含めても5名の人員で「町民総参加の企画」を実践し、さらには全国への発信・展開に取り組んでいる。恐れ入るというしか形容のしようがないし、商工会活動の「生きた手本」と呼んでも決して誉めすぎにならないほどの、活動ぶりである。

宮崎町メモ

   宮崎町は古川市の真西に位置し、山形県と接する。面積約177.77平方キロ。人口約6500人。丘陵の地形が多く、産業は稲作・畜産・しいたけ栽培・施設園芸が特徴。観光としては、「東北最古の磁器」と言われる「切込焼き」が有名で、この古窯跡一帯を整備した「陶芸の里」で知られている。  


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